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「勝ち切る」なんて日本語はない

最近、サッカーなどで「勝ち切る」という言葉が使われるようになりましたが、皆さんは違和感を感じませんか。
 例:この試合でも勝ち切れませんでした

そもそも「○○切る」は、「あることを完全にする」とか「完全に○○な状態」などを意味します。
 例:42.195kmを走り切る
   澄み切った空

「勝つ」はいうまでもなく結果ですので、中途半端な「勝ち」はありません。リードしている状態を「勝っている」ということはありますが、「勝つ」は結果に対して使われます。「勝つ」「逃げ切る」「守り切る」「競り勝つ」と言うべきところを、わざわざ「勝ち切る」と変な言葉で表現する状況はありません。

他に「シュートを決め切れない」のような使い方も耳にしたことからも、どうもスポーツ関係者の日本語に問題があるように思います。

 


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「ないべき」は使うべきではない

辞めるべきか、辞めないべきか。

最近、このような「ないべき」を使う人が増えてきたように思います。もちろん、正しくは「べきではない」です。

この傾向を調べるために、GoogleとYahooニュースとで検索してみました。

        Google  Yahooニュース
ないべき    564000   1
べきではない 4230000  135

Yahooニュースで使われた唯一の「ないべき」は、ある人の言葉を引用した際に現れたものでしたので、まだまだニュースでは正しく使われているといえそうです。

これを「国語力の低下だ」と指摘すると、たいてい「日本語の変化だ」というコメントも返ってくるのですが、とりあえず言えるのは、「自分の言葉遣いを正当化するよりも、正しい日本語を身に付けた方が世間から良く思われる」ということです。

 


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意志動詞と無意志動詞について

AUの『つながれる』が意味する内容」のコメントで「意志動詞」「無意志動詞」といった文法用語を使いましたので、この機会に簡単に説明させていただきます。

まずは、いくつかの例をご紹介します。
  意志動詞  無意志動詞
  あけます  あきます
  なおします なおります
  ひらきます ひらきます
  およぎます

日本語教育について勉強された方以外は、自動詞と他動詞という区別をされたと思います。ほとんどの単語については、「自動詞=無意志動詞」「他動詞=意志動詞」なんですが、「およぎます」や「あるきます」のような自動詞は意志動詞のため、単に国語教育と日本語教育とで用語が異なるわけではありません。

意志動詞は「生き物の動作」の場合に用い、無意志動詞は「自然的・自動的変化」の場合に用います。意図的ではない動作の場合は、無意志動詞を使います。

「機械がドアを開けました」や「低気圧が雨を降らせます」のような文も可能ですが、一般的に動作主が重要ではない自然的・自動的なことには無意志動詞を用いて、「ドアが開きました」「雨が降ります」というはずです。

ではなぜ意志動詞と無意志動詞という区別をするかについてですが、それは文法的に必要だからです。可能形や「ています」がその例です。

AUの『つながれる』が意味する内容」のコメントでも書いた通り、無意志動詞には可能形がありません。動作主がないのですから、能力などを表す可能形がないのも、当然です。

「ています」という文型の場合、一般的に意志動詞は継続などの意味になり、無意志動詞は状態の意味になります。(もっとも、「ています」には意味がたくさんあるので、単純に二分できませんが)
また、意志動詞で状態の意味を表す「てあります」に、動作主の意図が存在することも、意志動詞を正しく理解していれば、おのずと分かります。
 継続の意味 : 今テレビを壊しています。毎日泳いでいます。
 状態の意味 : テレビが壊れています。太っています。
 状態+意図 : (暑いので)窓は開けてあります。

これらは、自動詞と他動詞とでは分類できないため、日本語教育では、意志動詞と無意志動詞という用語を用いています。

意志動詞と無意志動詞について、ご理解いただけたでしょうか。

 


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